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筋トレは何回・何セットやればいい?10回×3セットと目的別の考え方を解説

筋トレを始めると、「まずは10回×3セット」と言われることがあります。

実際に、「とりあえず10回を3セットやっている」という人も多いのではないでしょうか。

しかし、なぜ10回なのでしょうか。2セットでは足りないのでしょうか。また、筋力を高めたい場合と筋肉を大きくしたい場合でも、同じ回数・セット数でよいのでしょうか。

結論からいうと、10回×3セットは筋トレを始めるときの実践的なスタート地点の一つですが、すべての人に共通する唯一の正解ではありません。

筋トレでは、「何回やるか」だけでなく、どのくらいの重量を使うのか、何セット行うのか、何を目的としているのかを一緒に考える必要があります。

この記事では、「筋トレは結局何回・何セットやればいいの?」という疑問について、従来の具体的な目安と現在のエビデンス(科学的根拠)を整理しながら解説します。

筋トレって、とりあえず10回×3セットやればいいんですか?

スタート地点の一つとしてはありです。ただ、10回×3セットだけが正解ではありません。目的や重量も一緒に考えることが大切です。


目次

筋トレは何回・何セットやればいい?

まず、目的によって回数やセット数をどのように考えればよいのか、全体像を整理してみましょう。

筋トレの回数・セット数を考える目安

目的まず知っておきたい考え方具体的な目安
筋トレ初心者回数だけでなく、重量とセット数を一緒に考える従来のACSMでは8〜12RMが初心者の負荷の目安。セット数は目的や反応に応じて考える
筋力を高めたい比較的重い重量を扱うことが重要最新のエビデンスでは80%1RM以上・2〜3セットで筋力向上が高まりやすい
筋肉を大きくしたい特定の回数だけに限定されない従来は6〜12RMが重視されたが、現在は幅広い負荷で筋肥大が可能。週あたりのトレーニング量も重要
筋持久力を高めたい軽〜中程度の重量で高回数を行う従来のACSMでは40〜60%1RM・15回超が目安

「回数」と「RM」は同じではない

この表で特に注意したいのが、「回数」と「RM」は同じ意味ではないということです。

ACSMが2009年のPosition Standで初心者に示しているのは、単純な「8〜12回」ではなく、8〜12RMという負荷です[1]。

RM(repetition maximum)とは、その回数を反復できる最大の重さを表します。

たとえば10RMであれば、正しいフォームでおよそ10回反復できる重さを意味します。

そのため、

「8〜12回なら、どんな重量でも8〜12回でやめればよい」

という意味ではありません。

一方、最新のACSM Position Standでは、筋力向上について、80%1RM以上の比較的高い負荷で2〜3セット行うことが効果を高める要素として示されています[2]。

筋肥大については、従来よく使われてきた6〜12RMだけに限定されず、幅広い負荷でも筋肥大が起こり得ることが現在の研究から示されています[2,3,4]。

つまり、目的によって「回数」「重量」「セット数」の組み合わせを考えることが重要です。


なぜ「10回×3セット」がよく使われる?

では、なぜ筋トレでは「10回×3セット」という設定をよく目にするのでしょうか。

10回という設定は、ACSMが2009年のPosition Standで初心者に示していた8〜12RMの範囲に含まれます[1]。

また、最新のACSM Position Standでは、筋力向上について2〜3セットを行うことが効果を高める要素として示されています[2]。

「10回×3セット」が絶対的な正解ではない

ただし、この2つをそのまま組み合わせて、

「初心者には10回×2〜3セットが最適である」

と直接示した研究があるわけではありません。

ここは、研究で直接示されていることと、そこから実践的に考えたことを分ける必要があります。

従来のACSMでは初心者に8〜12RMという具体的な負荷の目安が示されており[1]、最新のACSMでは筋力向上について2〜3セットが効果を高める要素として示されています[2]。

これらを実践的に整理すると、10回程度×2〜3セットを一つのスタート地点として、実際のフォームや余裕度を確認しながら調整するという方法が考えられます。

つまり、「10回×3セット」を絶対的なルールとして覚えるのではなく、トレーニングを始めるための一つの設定として捉えるとよいでしょう。


筋トレの「回数」はどう決める?

筋トレでは、「10回やればいい」「筋肥大なら8〜12回」といった回数の目安を聞くことがあります。

しかし、回数だけを見てトレーニングの内容を判断することはできません。

たとえば、20回以上できるような軽い重量を使って10回でやめる場合と、10回前後でかなりきつくなる重量を使って10回行う場合では、同じ「10回」でもトレーニングの内容が異なります。

回数は重量と切り離して考えない

筋トレでは、基本的に重い重量ほど繰り返せる回数は少なくなり、軽い重量ほど多くの回数を行えるようになります。

この関係を考えるときによく使われるのが、1RM(最大挙上重量)です。

1RMとは、1回だけ挙げられる最大重量を表します。

たとえば1RMが100kgであれば、80%1RMは80kgです。

最新のACSM Position Standでは、筋力向上について、80%1RM以上の比較的高い負荷を使うことで効果が高まりやすいことが示されています[2]。

つまり、

「何回やるか」だけでなく、「どのくらいの重量を何回行うのか」まで考えることが重要です。

※重量の具体的な決め方については、今後別の記事で詳しく解説します。


筋力を高めたい場合

「今より重い重量を持てるようになりたい」という筋力向上が目的の場合は、単純に回数を増やせばよいわけではありません。

2009年のACSM Position Standでは、中級者以上では1〜12RMの範囲を使いながら、1〜6RMの高負荷を重視する方法が示されていました[1]。

一方、最新のACSM Position Standでは、80%1RM以上の比較的高い負荷を使うことで筋力向上が高まりやすいことが示されています[2]。

2023年に発表された、複数の筋力トレーニング方法を比較した大規模な解析でも、さまざまな方法で筋力は向上しましたが、より高い負荷を用いることが筋力向上には有利であることが示されています[3]。

つまり、筋力向上では、

「何回できたか」だけでなく、「目的に合った重量を扱えているか」

という視点が重要になります。


筋肉を大きくしたい場合

一方、筋肉を大きくする筋肥大ではどうでしょうか。

「筋肥大なら6〜12回」「10回が一番筋肉がつきやすい」と聞いたことがある人もいるかもしれません。

従来のACSM Position Standでは、筋肥大を目的とする場合、1〜12RMの範囲を使いながら、6〜12RMを重視する方法が示されていました[1]。

そのため、6〜12RMは現在でもトレーニングを組み立てるときに使いやすい範囲の一つです。

軽い重量でも筋肥大する?

しかし、現在のエビデンスでは、筋肥大は6〜12RMだけで起こるわけではありません。

2021年に発表された複数の研究を統合した解析では、低負荷(15回より多く反復できる負荷)、中負荷(9〜15回程度)、高負荷(8回以下程度)を比較した結果、筋肥大の効果には明確な差が認められませんでした[4]。

ただし、ここには重要な条件があります。

この解析に含まれた研究では、各セットを「自分ではそれ以上反復できない」ところまで行っていました[4]。

そのため、

「軽い重量なら、どのようなやり方でも同じように筋肥大する」

という意味ではありません。

特に軽い重量を使う場合には、どの程度まで力を出してトレーニングしたかも重要になります。

そのため、筋肥大については、

「必ず6〜12回でなければならない」と考える必要はない

一方で、

「回数は何回でも関係ない」と考えるのも適切ではない

という理解が重要です。

じゃあ、筋肉をつけたいなら10回にこだわらなくていいんですか?

はい。10回は一つの目安です。筋肥大はもっと幅広い回数でも狙えます。ただし、軽い重量なら何回でもいいという意味ではありません。


筋トレの「セット数」はどう決める?

回数と同じように、「筋トレは何セットやればいい?」という疑問を持つ人も多いと思います。

「3セットが基本」と聞くこともありますが、すべての人が必ず3セット行わなければならないわけではありません。

1セットでも意味はある?

「1セットだけでは意味がないのでは?」と思う人もいるかもしれません。

しかし、1セットだから効果がないというわけではありません。

最新のACSM Position Standでは、筋力向上について2〜3セットを行うことが、効果を高める要素として示されています[2]。

また、筋肥大については、1回のトレーニングで何セット行うかだけではなく、1週間全体でどのくらいトレーニングを行うかも重要です[2]。

したがって、

「1セット=意味がない」と考える必要はありません。

一方、より大きな効果を目指す場合には、複数セットを行うことも選択肢になります。

2セットと3セット、どちらがいい?

「では、2セットと3セットのどちらが正解なの?」と思うかもしれません。

しかし、現在のエビデンスから、すべての人について「3セットでなければならない」という明確な境界線を示すことはできません。

最新のACSM Position Standでは、筋力向上について2〜3セットが効果を高める要素として示されています[2]。

そのため、初心者が複数セットを行う場合に、まず2〜3セット程度から始め、実際の反応を確認することは実践的な選択肢の一つです。

ここでも、「初心者には2〜3セットが最適」と研究で直接示されているわけではありません。

あくまで、現在分かっていることを実際のトレーニングに当てはめた一つの考え方として捉えてください。


セット数は「1回」だけでなく「1週間」で考える

ここまで、「今日は何セットやるか」を中心に説明してきました。

しかし、特に筋肥大を目的とする場合には、1回のトレーニングだけでなく、1週間で同じ筋群をどのくらいトレーニングしているかも重要です。

たとえば、胸のトレーニングを1回3セット行う場合、

週1回なら3セット、週2回なら6セット、週3回なら9セットになります。

同じ「1回3セット」でも、トレーニング頻度によって1週間全体のトレーニング量は変わります。

筋トレを週に何回行えばよいかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

→「筋トレは週何回が効果的?毎日やるべき?筋力・筋肥大と休息から考える」


筋肥大では週あたりのセット数も重要

最新のACSM Position Standでは、筋肥大について、週あたりのトレーニング量を増やすことが筋肥大を高める要素として示されています[2]。

その中では、週10セット以上のように、週あたりのセット数を多くした場合に筋肥大が高まりやすいことが示されています[2]。

ただし、ここは誤解しないようにしてください。

「週10セット未満では筋肉が大きくならない」という意味ではありません。

また、初心者が最初からすべての筋群に週10セット以上を行わなければならないという意味でもありません。

週10セットという数字は、筋肥大を目的として週あたりのトレーニング量を考えるときの一つの目安として捉えるとよいでしょう。

セット数は多ければ多いほどいい?

では、セット数をどんどん増やせば、それだけ筋肉も大きくなるのでしょうか。

そう単純ではありません。

2026年に発表された67研究・2,058人を対象とした解析では、週あたりのセット数が増えるほど筋肥大や筋力の向上も大きくなる関係がみられました[5]。

一方で、セット数を増やしていくほど、追加で得られる効果は徐々に小さくなることも示されています[5]。

つまり、

「多ければ多いほどよい」ではなく、現在のトレーニング量と身体の反応を見ながら調整する

ことが重要です。

週10セットが目安なら、最初から10セットやった方がいいですか?

必ずしもそうではありません。まず続けられる量から始めて、反応を見ながら調整しましょう。


初心者は何回・何セットから始めればいい?

ここまで読むと、

「理屈はわかったけれど、結局自分はどうすればいいの?」

と思うかもしれません。

ここでは、研究で直接示されていることと、そこから考えた実践的な目安を分けることが重要です。

従来のACSMでは、初心者に8〜12RMという具体的な負荷の目安が示されていました[1]。

一方、最新のACSMでは、筋力向上について2〜3セットが効果を高める要素として示されています[2]。

これらは、「初心者は10回×2〜3セットが最適」と直接示した研究ではありません。

10回程度×2〜3セットから始めて調整する

そのうえで実践的に整理すると、

10回程度×2〜3セットを一つのスタート地点として、実際のフォームや余裕度を確認しながら調整する

という方法が考えられます。

たとえば10回行っても「まだ10回以上できそう」というほど余裕がある場合と、10回前後でかなりきつくなる場合では、同じ10回でもトレーニングの内容は異なります。

そのため、

10回程度×2〜3セットから始める
↓
実際にトレーニングする
↓
フォームや余裕度を確認する
↓
重量・回数・セット数を調整する

という流れで考えると分かりやすいでしょう。

最初から「完璧な回数・セット数」を探すのではなく、具体的な数字をスタート地点として使い、実際の反応を見ながら調整していくことが大切です。


【現場での経験】

私が運動指導をするときも、「10回×3セット」という数字だけを見てプログラムを決めることはありません。

たとえば同じ10回でも、まだ十分に余裕がある人もいれば、8〜10回程度でフォームを維持することが難しくなる人もいます。

そのため、まず実施しやすい回数・セット数を設定し、実際のフォーム、本人の余裕度、実施後の反応などを確認しながら、重量・回数・セット数を調整しています。

回数やセット数は重要な目安ですが、数字を守ること自体が目的にならないようにすることも大切だと考えています。

筋トレの回数とセット数を目的・重量・週あたりのトレーニング量から決めて再調整する考え方

毎セット限界までやる必要はある?

「10回やってもまだ余裕があるなら、限界まで続けた方がいいの?」

という疑問もあると思います。

ここでも、「10回」という数字だけで考える必要はありません。

現在のエビデンスでは、筋力や筋肥大のために、毎セット必ず「もう1回もできない」というところまで追い込む必要があるとは考えられていません[2]。

一方で、同じ10回でも、まだかなり余裕がある10回と、あと数回程度しかできない10回では、トレーニングの刺激は同じとは限りません。

特に軽い重量を使って筋肥大を目指す場合には、前述したように、どの程度まで力を出して行ったかも重要です[4]。

初心者の場合は、毎セット限界まで追い込むことを優先するよりも、まず適切なフォームで継続してトレーニングできることを優先するとよいでしょう。

筋トレを毎日行ってよいのか、休息や筋肉の回復についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

→「筋トレは毎日してもいい?逆効果?休息と筋肉の回復について解説」


まとめ|筋トレの回数・セット数は目的に合わせて考えよう

「筋トレは10回×3セット」と聞くことがありますが、10回×3セットは一つの実践的なスタート地点であり、すべての人に共通する唯一の正解ではありません。

従来のACSMでは、初心者に8〜12RMという具体的な負荷の目安が示されていました[1]。

一方、現在のエビデンスでは、筋力向上には比較的重い重量や複数セットが重要であり、筋肥大は特定の回数帯だけに限定されず、週あたりのトレーニング量も重要であることが示されています[2,3,4]。

ただし、「初心者は10回×2〜3セットが最適」という方法が、研究によって直接示されているわけではありません。

10回程度×2〜3セットという設定は、これまでの研究結果を踏まえて、初心者が実践しやすい形に整理した一つのスタート地点です。

そのため、筋トレの回数・セット数は、

目的 → 重量 → 回数 → セット数 → 週あたりのトレーニング量 → 身体の反応を確認 → 再調整

という流れで考えると整理しやすくなります。

「10回」「3セット」といった数字は、トレーニングを組み立てるための便利な目安です。

しかし、数字を守ること自体が目的ではありません。

具体的な数字をスタート地点として使い、目的や実際の反応に合わせて調整していくことが、筋トレの回数・セット数を考えるうえで重要です。


参考文献

[1]American College of Sports Medicine. American College of Sports Medicine position stand. Progression models in resistance training for healthy adults. Med Sci Sports Exerc. 2009;41(3):687-708.

[2]Currier BS, D’Souza AC, Fiatarone Singh MA, et al. American College of Sports Medicine Position Stand. Resistance Training Prescription for Muscle Function, Hypertrophy, and Physical Performance in Healthy Adults: An Overview of Reviews. Med Sci Sports Exerc. 2026;58(4):851-872.

[3]Currier BS, McLeod JC, Banfield L, et al. Resistance training prescription for muscle strength and hypertrophy in healthy adults: a systematic review and Bayesian network meta-analysis. Br J Sports Med. 2023;57(18):1211-1220.

[4]Lopez P, Radaelli R, Taaffe DR, et al. Resistance Training Load Effects on Muscle Hypertrophy and Strength Gain: Systematic Review and Network Meta-analysis. Med Sci Sports Exerc. 2021;53(6):1206-1216.

[5]Pelland JC, Remmert JF, Robinson ZP, Hinson SR, Zourdos MC. The Resistance Training Dose Response: Meta-Regressions Exploring the Effects of Weekly Volume and Frequency on Muscle Hypertrophy and Strength Gains. Sports Med. 2026;56(2):481-505.

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この記事を書いた人

安澤 佳樹|Yoshiki Anzawa
医療・スポーツ・教育の領域で、運動と身体機能に関する実践・研究に取り組んでいます。大学病院での心臓リハビリテーションや運動指導、スポーツ現場でのコンディショニングや外傷・障害予防、専門職の教育など、領域を横断して活動しています。研究テーマは、心血管疾患に対する運動療法・身体機能、心臓リハビリテーション、スポーツ外傷・障害など。AZ_ONEでは、「エビデンスを、現場で使える知識に変換する」をテーマに、研究と実践をつなぐ情報を発信しています。

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